先日、格安のPC用モニタメーカーとして界隈では有名なJAPANNEXTが「JN-IPS3200UHDR」という新製品を発表しました。
これは4K・HDR・31.5インチ・IPSパネルを搭載しながら、お値段なんと44,980円。まさに4Kモニタの価格破壊神ですな。32インチクラスの4Kモニタを探しているなら、有力な選択肢に入ってきそうですね。
でも、いまぼくが疑問なのは「HDR、一体どれだけの人が利用できてるんだろう?」ってこと。それも「特にPCで」という話ですな。
NetflixやiTunesがHDR動画のストリーミング配信サービスを始めたとか、YoutubeでHDRが観られるとかニュースサイトで取り上げられましたけど、みんな本当に利用できてるんですかね……。
(ほぼ)最新のPCじゃないとダメだゾ
「ボロPCじゃダメ」ではなく「新しいPCじゃなきゃダメ」というのがポイントです。HDRのストリーミング再生は第7世代以降のインテルCoreプロセッサー
(とそれと同等の性能を持つCPU)じゃないと、対応していないんですよ。
要するに(この記事を書いている時点からは)少なくとも2年以内に出たPCじゃなきゃダメってこと。うちのメインPCはSkylake(Core i7 6700K)なので残念ながらアウトでした(まあKaby Lakeも持ってるんですが、運悪くハズレ石を引いてしまったので封印中)。
この記事によればPCの買い替え年数は平均7年とのこと。7年前(2011年)というと、第二世代のCoreプロセッサー(Sandy Bridge)が出た年だ。世の中にはまだまだたくさんの「Sandyおじさん」がいるってことですな。
そもそも「Sandyおじさん」じゃなくても、Ivy BridgeやHaswell(そしてもちろん我が家のSkylake)でもダメなので、HDRのストリーミングに対応したPCを所有してる人自体がまだまだ少ない。
それじゃあ、いま現にHDRを使ってる人たちはどうしてるの? といえば「そんな奴ァいねえ!!」……じゃなくて、Xbox OneやPS4などのゲーム機、あるいはApple TV 4KやKindle Fire TV 4Kといったセットトップボックス(STB)を使っているんでしょう。うちではApple TV 4Kを使っています。
そもそもWindowsがHDRに塩対応
たとえば、オープンワールドレースゲームの「Forza Horizon 3」は、Xbox版ではHDR対応だけどPC版は対応していない。わざわざご丁寧に非HDRにしている。これは、Windows 10のHDR対応が遅れたことが影響しているんだと思う。
いまでもWindows 10でHDRを有効にすると、挙動があやしい。たとえば、画面が青っぽくなると、いろんな人が報告してます。
実際に、いまぼくが使っているEW3270Uでも、同じように、HDRにすると画面が青くなるという現象が発生していました。これには解決方法があるので、まあ近日中に記事でも書いてみたいと思うのですが……。
ほかにも、Windows 10にインストールされているデフォルトのメディアプレイヤーでHDRが再生できないとか、いろいろとしょっぱい感じ。ぼくはVLCメディアプレイヤーを使っています。
というわけで、今すぐにHDRコンテンツを満喫したいなら、PCよりもゲーム機やSTBを使うのが現実的で安上がりです。だったらモニタもPC用の4Kモニタじゃなくて、リビングに置くようなより大型のテレビを買ったほうが良さそうですね。
PCのHDR時代はいつ来るのか?
そんな日は来ない。インテルの新しいCPUやNVIDIAの最新グラボが遅れてしますし、買い替えを考えているユーザーも、比較対象となるAMDのZEN2(第2世代のRyzen)、あるいはNaviが登場するタイミング(2019年夏以降?)まで待つ人が多そう。そのころになれば、モニタももっと高性能で安い製品が出ているでしょう。
PC用モニタにする意味はどこにあるのかとかそういう話はまた後日。